1998年〜2000年以前では、リムーバブルハードディスクというと、ディスクのみという構造を持ったリムーバブルメディアのもののみを指していた。しかし、それらの製品群は、1998年〜2000年ごろには他メディアに押されて販売中止となる製品が続出し、陰の薄いものとなった。それに対し、このころに登場したこのリムーバブルケースは登場と同時に爆発的に普及し、一般に広く知られるようになった。そのため、現在ではこのリムーバブルケースを指すことが多くなった。 2007年現在、1Uサイズからブレードサーバまで、SAS 2.5"ハードディスクドライブ用のリムーバブルハードディスクドライブケースを標準装備したサーバ機器が多数発売されている。SASではホットスワップ動作が規定されているので、稼動中の装置から容易にハードディスクドライブを取り出して交換する事ができる。 一部の製品は、ソフト的にパラレルATA接続でのホットスワップが可能な物があった。ただし動作の安定性・確実性には難があり、さほど一般化することはなかった。 SCSIではSCAコネクタを採用した物で、ハードディスクドライブそのものをスロットに押し込んで使うシャーシがある(これは薄型RAIDでよく使われた)。汎用リムーバブルケースに比べて、カートリッジ化するための部品装着の手間が不要になる、ハードディスクドライブがシャーシに接触するので放熱効率が良い、実装密度を高くすることが出来るなどのメリットがある。デメリットとしてSCAコネクタを搭載したハードディスクドライブ自体が製造数の関係で安価ではない、大容量ドライブの入手性に難があるなどがあげられる。 2.5インチハードディスクドライブはパラレルATAでも、40ピンATAのピンピッチを狭くしただけでなく、電源の4ピン分を含めた44ピンATAに、マスター/スレーブ設定ピンなどを含む50ピンATAとしてコネクタ位置が統一されている。コネクタの抜き差しも弱い力で済んだことから、ノートパソコンではハードディスクドライブそのものをスロットに押し込んで使う筐体も有った。安いベアドライブを簡単に入替えられ評判が良かったが、ノートパソコンの場合、ドライブを抜き差しする開口部を作ることすら厳しいこと、ドライブの高さが8mm/9mm/12mmと異なる高さの製品があったことから、実例は多くは無い(日立 FLORA、東芝DynaBook・ポルテジ・Libretto、IBM ThinkPadなどの一部のモデルが本体を分解しなくてもアクセス出来るスロットを備えた)。 3.5インチIDEハードディスクドライブがシリアルATA化した際に、コネクタの位置が厳密に規定されたこと、コネクタ自体がこじらなくても抜き差しできる様になったことから、従来SCAコネクタハードディスクドライブが採用されていた不用品回収 ・分野にシリアルATAハードディスクドライブが進出している。SCAコネクタハードディスクドライブの欠点であった、容量の問題、価格の問題も解決しており、コンシューマー向けの5インチベイに搭載するリムーバブルシャーシから、大規模ストレージまで幅広く使われる様になった。シリアルATAコネクタを搭載した高信頼性ハードディスクドライブも登場している。 前述の通りハードディスクドライブをリムーバブルにする技術は現在2種類ある。 以上の比較から、リムーバブルケースは大容量のデータをディスク毎に分類する目的に適し、持ち運びにはリムーバブルハードディスクドライブが最適と言える。また、高いパフォーマンスが必要であればリムーバブルケースが望ましい。 ハードディスクドライブは、その製造過程において高度なクリーンルームや良質の磁性体を必要とし、ドライブの品質は潤滑剤、制御基板等の品質に左右される。これらの事柄が要因となってドライブのロット不良を起こす場合がある。 ハードディスクドライブの寿命はS.M.A.R.T.で計られ、MTBF(平均故障間隔)やMTTR(平均修復時間)として推測される。一般に温度が高いほど寿命は短くなると思われているが、Googleが自社のサーバ群の故障発生率の統計から発表したデータでは、極端な高温以外の環境では温度と故障率との関連性は認められていない。 また、個人向けのIDEと粗大ごみ のサーバ用途向けのSCSIでは設計時における耐久性に格差が存在し、IDEは一日8時間使用で3年・SCSIは24時間稼動で5年を目安にしているとされるが、実際の製品寿命を保証する物ではない。5年以上故障を起こさないケースもあるし、半年もせずに壊れるケースもある。 ハードディスクドライブの寿命は前述したように環境に依存しているため、定期的なバックアップの重要性は昔から絶えず言われ続けている。一般ユーザーレベルでのバックアップ先としては、パソコンの初期(1980年代)にはフロッピーディスク、さらにMO、CD-RやDVD-R、果てはBD-R等の光メディアへの保存か、近年は容量などの面から外付けHDDへの保存が一般化している。またサーバ用途で一般的に使われているSCSIを使ったRAID構成は、この問題に対する一つの回答であり、個人向けや家庭向けのRAID構成HDDが発売されている。 ドライブの製造期間は短い物で3ヶ月、長い物で1年程度である。かつて通商産業省の指導により性能部品等の保存期間を家電メーカーらが自主的に定め遂行した例(メーカーによる製造終了後の保守部品保持など)はあるが、コンピュータを含む通信機器メーカーはその対象ではなかった。このため、パソコンメーカー等では修理部品の確保が難しい場合が多く、修理作業自体にかかる手間やドライブの価格低下が激しい事情も合わせて、故障した製品の代替の製品と交換することで対応する例も珍しくない。故障したドライブに記録されたデータの取り出しを行う専門業者も存在するが、かなり割高(ドライブ容量によるが軽症なら数千円〜重症だと数万円〜100万円を超えることも)な代金となることが多い。 ハードディスクドライブは転倒、落下等の強い衝撃を受けた場合、ヘッドが円盤面に衝突して円盤に傷が付いたり、モーター内のベアリングが変形したりしてデータの読み書きが不能となる場合がある(これを一般的にヘッドクラッシュと呼称する)。特に動作中の落下で故障しやすいため、携帯用途で使用されるハードディスクドライブを内蔵した製品を扱う場合は強い衝撃を与えないように注意を払う必要がある。また、希に落下したあとでも正常に動作する場合、そこでできた傷がごみとなり、それがハードディスクドライブ全体に行き渡って破損するケースもある。 輸送時などの衝撃による破損を防ぐため、ヘッドをディスクの安全な領域へリトラクト(retract。収納退避)させることが重要になる。例えばPC-9800シリーズなどの場合、電源を切る前にSTOPキーを押して手動リトラクトする習慣を身につけることが、整体師 にとって一種の通過儀礼となっていた。やがて、電源を切った際にハードディスクドライブが能動的にリトラクト動作をするオートリトラクト機能を備えることが一般的となった。 一部のハードディスクドライブではこれを発展させ、加速度センサーを内蔵し、自由落下を検出すると電源を切らずともオートリトラクトして破損を予防する機能が付加された。PowerBookなどではディスク外部に加速度センサーを設け、同様の機能を実現している。これらの発展によりハードディスクドライブの用途は大きく広がり、2006年には携帯電話への搭載(例・東芝製のKDDI(auブランド)向け端末である「W41T」がこれにあたる)も実現した。フラッシュメモリが主力となっている組み込み機器においても、何度でも書き込める・大容量である・容量辺りの単価が安い・汎用OSが使えるという利点から進出が期待されている。一方フラッシュメモリに比較すると、消費電力が多い、小容量ではコスト高になる、厚みがかさばるという難点もある。 ハードディスク本体内部もさることながら、その制御基板の部品が焼損することなどで故障する例も多い。同一製品でも製造ロットごとに基板の部品構成が異なる例が多く、その場合はその基板を移植しても動作しないことが多いことや、メーカー側も基板交換の対応は行っていないことから、個人レベルでの対応は困難とされる。 ハードディスクドライブはそのほとんどがコンピュータ内部に内蔵されているため、そのまま処分すると中身のデータを盗みとられてしまう危険性がある。特にOS上の削除操作を行ってもインデックス部の削除しか行わず、データ部はディスク内にそのまま残され、一般的なファイル復元ソフトによって容易に復元されてしまう。また通常のフォーマットもデータ部をクリアすることはしない為、復元される可能性がある。データ領域の残存データを消去するには、データ領域に他のデータを上書きするのが一般的。また1回の上書きではデータを上書きする際に、ドライブの回転等による振動で、磁気ヘッドと磁性体面との角度のずれによって僅かな磁気が残留する危険がある。そのため完全消去には、3回程度の上書きが必要とされる(米国国防総省NISPOM規格)。ただし、この上書き後の残留磁気からデータを復旧することは、特殊な機材と専門知識を必要とする為、一般のユーザーや一般の復旧業者に行えることではなく、"理屈の上では可能とされている"と言うのが実際である。